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空き家活用事例集

田中さん

空き家を、若者の夢を叶える拠点に。

空き家
活用事例

県外からのIターン
・田中伸哉さん
(羽咋市)

田中伸哉さん。自宅の前で愛猫・パラドックスプリンシパル君と一緒に。

田中さんの自宅。1935年(昭和10年)築、2015年から空き家になっていた。
田中さんの自宅。1935年(昭和10年)築、2015年から空き家になっていた。

空き家のメリットの一つが「家賃が安い」「改装可能」な物件が多いこと。老朽化も、自分たちで改装できる「楽しみ」に変えてしまう。
今回は、築82年の古民家を借りて、20代の友人たちと共同生活を送る羽咋市の田中伸哉さんをご紹介。

偶然辿り着いた空き家バンクで。
羽咋市の「千里浜なぎさドライブウェイ」。全国で唯一の「自動車で走れる砂浜」として有名。/©石川県観光連盟
羽咋市の「千里浜なぎさドライブウェイ」。全国で唯一の「自動車で走れる砂浜」として有名。/©石川県観光連盟

田中さんは徳島県出身。進学や就職で中部地方や中国地方に住んだこともあったが、石川県は縁も所縁もない土地だった。
「希望条件としては賃貸で改装可能な物件。全国どこでも良かったのですが、いろんな空き家情報サイトを見ている内に、たまたま羽咋市の空き家バンクに辿り着いて。羽咋市を選んだ決め手は、千里浜でした。僕、海がすごく好きなんです」

「住居」に縛られないライフスタイル。
共有スペースで猫と戯れる様子。壁も扉も田中さんが塗った。
共有スペースで猫と戯れる様子。壁も扉も田中さんが塗った。

アパートやマンションではなく、田中さんが「空き家」にこだわって探していたのには理由があった。
「全国各地に、若い人達が安く住める場所をつくれないかと考えていて。なるべく家賃を抑えて、その分事業を起こしたり、趣味や好きなことに回せるように。将来的には若者を支援するNPO法人を立ち上げたいと思っているんです」
実際に、同居人である田中さんの友人も、京都で仕事をしつつ、趣味のマリンスポーツを楽しむため、羽咋市をひとつの拠点として行き来する生活を楽しんでいる。

オーナーと直接契約。
一階の和室も、まだ漆喰を塗っている途中。
一階の和室も、まだ漆喰を塗っている途中。

県外に住みながらも物件を決めるために、あらかじめ何件かピックアップした上で、羽咋市役所に連絡を入れた。担当者に紹介してもらい、オーナーと直接連絡を取り、今回は不動産会社を介さずに任意で契約を結んだ。
「大家さんも、ここから200mくらいの距離に住んでいるご近所さんです。賃貸条件についてはオーナーさんと相談しながら決めて、契約書は自分で作成しました」
築82年とあって、雨漏りをしている箇所や、煤けた壁など、当初の物件の状態は決して良好ではなかったが、住まいながら少しずつ、自分の手で修繕と模様替えを加えている。
「改修といっても大袈裟なことではなくて、ホームセンターで材料を買って、見よう見まねでやっています。雨漏り修繕なんて自分にできるか不安でしたが、やってみたらなんとかなるもんです」。(改修には羽咋市の「空き家リフォーム再生事業」の補助金も申請予定)

ストレンジャーから、少しずつ。

縁も所縁もない若者が、いきなり県外から引っ越して来たので、最初はご近所さんから珍しがられたそう。「“なにか悪いことして逃げて来たの?”と聞かれたりして(笑)。でも、今では皆さんとても親切にしてくださって。畑で採れた野菜を分けてくれたり、色々助けていただいています」
薪ストーブで料理をしたり、趣味のドラムを叩いたり、天気の良い日は海へドライブに行ったり―。田中さんの暮らしぶりは実に軽やかで楽しげだ。
「空き家を活用して、全国にもっとこんな場所が増えていけば良い」と田中さんは目を輝かせて話す。これからの空き家は、若者の「夢の容れ物」にもなりうるのかもしれない。