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空き家活用事例集

関さん一家

愛娘の笑顔が増えた、関さん一家の能登移住。

空き家
活用事例

自宅・空き家バンク
・補助金・購入
関克憲さん
(七尾市中島町)

七尾市中島町で暮らす関克憲さんと妻の照代さん、娘の遥香さん。

子育て環境を考えて、能登への移住を決意。
広い庭先ではご近所の方や子供のバスケチームの親子が集まって、中島町の名産のカキを焼いて食べたり、バーベキューを楽しんでいる。
広い庭先ではご近所の方や子供のバスケチームの親子が集まって、中島町の名産のカキを焼いて食べたり、バーベキューを楽しんでいる。

七尾市中島町で暮らす関克憲さんと妻の照代さん。二人が能登への移住を決めたのは、娘の遥香さんのことを考えてのことだった。関さん一家は神奈川県平塚市の持ち家で暮らしていたが、古い住宅地で高齢化が進んで子供が少なく、団地には外国人の居住者が急増したこともあり、住環境・教育環境を考えるようになっていたからだ。

移住を思い立ったのは2015年3月、遥香さんが小学5年生に進級するタイミングだった。移住先として能登を選んだのは、神奈川生まれの照代さんの母方のルーツが能登西部にある羽咋郡志賀町にあったから。現在も親戚が暮らしていて、子供の頃から遊びに来ていた。移住前も年に一度は訪れていた、照代さんにとっては田舎ともいえる場所で、できれば志賀町で、またはその近辺で暮らしたいと考えた。

学校行事への参加、地域行事への参加など、夫妻にとっても移住を機に人との交流の機会が増えた。
学校行事への参加、地域行事への参加など、夫妻にとっても移住を機に人との交流の機会が増えた。

「移住して本当に良かったと思うのは、娘の変化です。のびのびと、明るく活発になりました。バスケットボールを始めて背もグンと伸びました。中島町は子供の数が減って以前6校あった小学校が1校に統合されていますが、スクールバスの送迎がありますし、スポーツが盛んで、子供を育てる環境としてはとても満足しています」と照代さん。

「庭にバスケットのゴールが置けるなんて、神奈川ではできませんでしたからね。通学の時にも、ご近所の方が声をかけてくれたり、祭りや太鼓が盛んで娘も地域の人に太鼓を習っているんです」と克憲さん。のびのびと育つ娘の姿に、移住の効果を実感している。

空き家バンク・補助金を利用して住まいを購入。
たくさん部屋があるので、娘の遥香さんは3部屋を使用。こちらは友達が来た時に使う遊び部屋。
たくさん部屋があるので、娘の遥香さんは3部屋を使用。こちらは友達が来た時に使う遊び部屋。

関さん夫妻はインターネットを検索して空き家バンクの存在を知り、志賀町や交通の便もいい七尾市の空き家バンクの登録物件を探した結果、現在の住まいを発見。その家を担当していた民間不動産業者(※シティハウス産業)に連絡し、ゴールデンウイークの休みを利用して現地リサーチに訪れた。

立地、間取りもよく、駅や高速道路のICにも近い。何より家の状態が良かった。元の家主さんが金沢在住で、空き家になっていた実家を時折訪れて、建物に風を通したり、手入れを続けていたからだ。今でも家の側にある畑で作物を作っていて、訪れるたびに娘の遥香さんのことも可愛がってくれている。

すぐに物件を気に入った関さんは購入を申し込んだが、先に賃貸を検討している老夫婦の先約もあったという。その老夫婦からなかなか返事がなかったことや、家主さんができれば若い人に住んでもらいたいと考えていたこともあり、購入を申し込んだ関さんへ売却することを選ばれた。

こうして移住先の住まいを見つけた関さん。神奈川の持ち家は手放すことにしたが、こちらもすんなりと業者の買取が決まり、2015年8月の夏休み中に中島町へ引っ越した。県外からの移住で一戸建ての中古住宅を購入したので、七尾市の移住定住促進住宅取得補助の対象になり、100万円の補助金も受けられた。

前の家主さんが入居前に一部を修理してくれていたり、仏壇や不要な家具なども片付けてくれていたので引越しはスムーズに済んだ。克憲さんはハローワークで仕事を見つけ、照代さんも能登定住・交流機構の紹介で「鉈打ふるさとづくり協議会」で働くことになった。

将来の夢は、ライダーハウス。
2階の窓からは花火も見え、いずれは空き部屋を活用して宿泊施設もやってみたいと考えている。
2階の窓からは花火も見え、いずれは空き部屋を活用して宿泊施設もやってみたいと考えている。

関さんの家は築40年ほどの9DKの2階建。家族3人で暮らすには充分すぎる広さがあり、広い庭と、広大な畑地もある。

「私は3姉妹の末っ子ですが家を継いでいるので、母方のルーツである能登に家を持つことになり、姉たちにとっても能登に実家ができて、こちらの親戚を訪ねていた頃よりも来やすくなったと思います。広い家なので人が呼べて、集まれて、本当に楽しいですね」と照代さん。

「今はまだ移住したばかりで難しいけれど、子供が大きくなって暮らしも落ち着いてきたら、能登を旅する人のくつろぎの場所が提供できたらと思っています。2階は宿のような作りになっていて、海岸も近くて窓からの眺めもいいんですよ」と克憲さん。

夫婦共通の趣味がバイクなので、いずれはここでライダーハウス(オートバイや自転車などでの旅行者の簡易宿泊施設)やゲストハウスを出来たらと考えている。子育ての場として選んだ能登への移住で、家族の新しい夢が育っている。