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特使のご紹介

岩井 庸之介さん、岩井 洋子さん

岩井 庸之介

岩井 庸之介さん:建築家、デザイナーとして移住者の店舗兼住居を数多く手がけ、移住者と地域を繋ぐコーディネーター的役割を長年果たしている。特に住宅取得の分野に精通。自身は平成7年に金沢から移住。辰口エリア担当。辰口地区の陶芸家、ハム・ソーセージ専門店、イタリア料理店等の移住・開業に携わる。

岩井 洋子さん:夫婦で移住者の住居等の取得や移住を親身にサポート。特に住宅取得の分野に精通している。辰口エリア担当。これまで、能美市辰口町地区の陶芸家、ハム・ソーセージ専門店、イタリア料理店等の移住・開業に携わる。

インタビュー

岩井庸之介(いわい・ようのすけ)さん、洋子(ようこ)さん
地域のにぎわい創出を目指して、不動産・建築のプロとして移住者の定住を支援

石川県能美(のみ)市で、一般住宅・店舗の設計・施工を手がける「株式会社さとやま設計社」(http://satoyamasekkei.com/)を運営する岩井庸之介さんと奥様の洋子さん。地域の活性化を願い、同市辰口(たつのくち)地区への移住希望者を積極的にサポートしている。

これまでに4組の移住をバックアップ

能美市は金沢市内から車で約30分、人口約5万人の石川県南部の市。海にも、山にもアクセスがよく、豊かな自然が広がる一方、金沢市や小松市のベッドタウンとしての顔を持ち合わせている。ただ、中山間地域は例に漏れず過疎化の問題を抱えており、「さとやま設計社」はそうした地区にほど近い、里山の風景が広がる「アーティスト村」の中にある。
「アーティスト村」は、移住してきた芸術家たちがアトリエを構えるエリアで、岩井さんは“村長”として、地域コミュニティづくりに努めてきた。
「この地域のにぎわいを創出したいんだよね」と岩井さん。辰口地区には、いしかわ動物園や辰口丘陵公園があり、週末は多くの親子連れでにぎわう。こうした施設の周辺に、グルメや雑貨などの個性的な店舗を誘致することで、県内外から観光客を呼び込めるのではというのが岩井さんの考えだ。
岩井さんご夫妻はこれまで、ハム・ソーセージ専門店やイタリアンレストランなど4組の移住をバックアップしてきた。いずれも、能美市の創業支援補助金制度を利用して、土地を紹介したり、店舗兼住宅の設計・施工をしたりして移住者が定住できるよう支援した。
また、事務所の隣の建物を能美市の「ちょい住み体験施設」として、移住希望者らに提供しており、今後は「いしかわ移住応援特使」として施設利用者からの移住に関する相談などにも気軽に応じていくことにしている。

岩井さんが設計・施工した「シャルキュトリー・ガリビエ」

岩井さんご夫妻のサポートで念願の自分の店を開業

2013年、同市徳山町に開店した手作りハム・ソーセージ専門店「シャルキュトリー・ガリビエ」は、岩井さんご夫妻が最初に移住をサポートした店舗。当時、岐阜県に住んでいた店主の竹友雄三さんの「以前金沢のレストランに勤めていた時から、いい雰囲気だと思っていた能美で、店を開きたい」という想いを受け、地権者と交渉して土地を紹介したほか、店舗兼住居の設計・施工を担った。
「金沢で開店すればお客さんはたくさん来るかもしれないけど、自分が作れるペースには限りがある。そこで金沢からアクセスもよく、のんびりしている能美での開業を希望しました。(移住にあたって)岩井さんの存在は心強かった」と竹友さん。
竹友さんが作るソーセージはたちまち評判を呼び、ソーセージ目当てに市外からも客が足を運ぶ人気店になっている。「売上がどうのとか、お客様がくるかどうかを心配していては、いつまで経っても夢を叶えることはできません。『それでも、やり遂げるんだ』という強い気持ちが必要」と、竹友さんは移住して起業を考える人たちにエールを送る。

準備不足の移住希望者の多さを危惧

岩井さんご夫妻も、1987年に大阪から金沢にUターンし、1996年に能美に移住した経歴を持つ“移住組”。「当時の大阪は校内暴力がひどくて。子供の教育環境を考え、金沢に戻りました。そして、金沢よりも自然が豊かな所で生活したいと考え、能美に移ったんです」と洋子さん。
地域の活性化を願い、「移住希望者を積極的に応援したい」と話すが、準備不足の移住希望者が多い現実を憂いている。
「里山で起業したい、田舎暮らしをしたいという人の中には、『土地も古民家もタダ同然』と思っている人がいて困ります。首都圏に比べて能美の土地は安いですが、タダの土地などありません。『築100年の古民家』と言えば聞こえはいいですが、生活できるようにリノベーションするには新築並みの費用が掛かります。漠然としたイメージだけで、ビジネス的なビジョンが曖昧な人も目立ちますね。移住して、土地や建物を手にするには費用が必要です。移住や起業を考えているなら、しっかりとしたビジョンと移住資金の準備をしてもらいたいですね」と岩井さん。

カフェを通して里山での暮らしの魅力を発信

「さとやま設計社」に併設する「さとやまカフェ」は、里山ののんびりとした空気感が魅力の空間。「長居する人が多いいんですよ」と笑いながら、「カフェでくつろぎながら、『ここで暮らしてもいいかも』と思ってもらえたらうれしいよね。声をかけてもらえれば、里山暮らしの魅力を教えますよ」と話す。
まちおこしには時間がかかる。それは岩井さんご夫妻も十分承知していることだ。「10年近く活動していても、実際に移住に成功したのは数軒と微々たるものなのが現実。とても大手のディベロッパー(開発事業者)にはかないません。今はとにかくリピーターを増やすことが重要だと感じています。リピーターが増えることで、開業した店が軌道に乗り、それが呼び水となって、新たな移住希望者が増えればと考えています。出会いを大切にしながら、地道に取り組んでいきます」。