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特使のご紹介

田中 宏希さん

田中 宏希

子供の誕生を機に、平成30年に兵庫県から子育て環境の充実した妻の実家のある石川県に移住。日頃から金沢市内の空き家等の不動産の売買仲介・賃貸仲介、店舗や事業の開業支援に取り組んでいる。

インタビュー

家族との時間を大切にするための“嫁ターン”。

夫婦どちらかの出身地へのUターンは、子育て世代の移住事例ではとても多いケース。しかし、仕事を続けながら(さらには子育てしながら)、移住先での転職活動や各種手続きを進めるのはなかなか大変なこと。今回は自身が“嫁ターン”移住者である、田中宏希さんを訪ねました。

田中宏希さん。勤務先の「金沢R不動産(有限会社E.N.N.)」オフィスの前で。

核家族での子育てに限界を感じて。

田中さんは島根県出身。転勤先だった金沢で、白山市出身の奥さんと出会い、大阪転勤を機に結婚。双子の男の子を授かり、関西での育児生活がスタートします。しかし、2人とも身寄りのない関西での双子育児は「想像以上に大変だった」と田中さんは振り返ります。
「はじめての育児に加えて、双子ということもあり、妻は本当に大変そうでした。唯一頼れる存在だった僕も休みなく働き通して。妻の負担が限界に達しているのを感じていました」

そこで、奥さんの実家である石川県にUターンすることを決意。まずは、石川県への移住相談窓口である「ILAC」を訪ねることから始めたといいます。
「ILACでオーダーメイド型の子育て移住ツアーを紹介してもらって、実際に参加してきました。保育園や児童施設の見学、市役所での移住にまつわる補助金の説明なども一日でまとめて聞けました。仕事を続けながら、頻繁には石川に足を運べないので、とても助かりました」

田中さん一家。天気の良い日に近所の公園をのんびり散歩。

移住前に、現地の仕事を探すには

また、ネットワークのない土地で、自分に合った仕事情報を探し当てるのはなかなか至難の技。田中さんはどのようにされていたのでしょうか。
「ILACで自分の希望する職種などを伝えると、条件に合う求人を紹介してくれました。移住前に現地の仕事情報を得るのはなかなか難しいし、土地勘がない中で公共職業安定所に行っても、情報が多すぎて選べない。そういう意味では、コーディネーターとしてとても心強い存在だと思います。またILACが運営する移住サポートメディ『イシカワノオト』での移住体験者の声や、求人情報も参考になりました」

ILACが運営する「イシカワノオト」のホームページ。

コンパクトで、程よく都会的な面に触れられる街

関西でも、大阪の中心部での生活が長かった田中さん。都会から地方の金沢に移住してみていかがでしょうか?
「金沢は程よく都会的でありながら、ちょっと離れると自然豊かなところが気に入っています。子どもたちにも、自然だけじゃなくて、都会的な面も両方経験させてあげたいと考えていました。また、金沢の街はとてもコンパクトで住みやすいですね。僕自身は中心市街地から少し離れた郊外に住んでいるのですが、街なかにもアクセスしやすく、逆に自然豊かなエリアにも近くて気に入っています。ちなみに通勤時間はかなり短くなりました」

オフィスの応接間にて。住まいや移住の相談もこちらで。

「都市部でいう電車の駅が、こちらではバス停なんだと認識してます。金沢は市電は走っていませんが、バスの路線が発達しているので、自宅もバス停がそばにあるところを選びました。車は妻と一台をシェアしていますが、今のところ一台でまかなえています。あと、金沢は戦災に遭っておらず、市街地は昔ながらの細く入り組んだ道が多いので、ペーパードライバーの方は覚悟しておいた方がよいかもしれません」

北陸の冬の暮らし。

また、北陸は雪が多かったりと、冬の暮らし方にも特徴があります。田中さんは大阪で「石川の冬の暮らし」を紹介するイベントにてプレゼンターも務めました。
「まず、こちらでの天気は曇天の日が多いことには驚きました。関西では晴天の日が多かったので、そこは慣れるのに時間がかかりましたね(笑)。雪に関しては、せっかくなので楽しみましょう!と伝えています。具体的な暮らしのアドバイスとしては、洗濯物は冬場ほとんど外で干せないので、戸建やマンションに関わらず、サンルームは必須です。駐車場は、屋根がないと雪かきが大変なので、戸建ならガレージ付きをおすすめします」

金沢の冬。近年は豪雪の年と暖冬の差が激しい。(写真提供:金沢市)

家族との時間を増やすための嫁ターン

関西では営業職として、休みなく働き通しの日々が続き、心身共に疲弊していたという田中さん。石川に来てからは、ワークライフバランスが整って、家族の時間がぐんと増えたと言います。
「石川には、子育をすることに照準を絞って移住しました。だからこそ、休日は思いっきり家族と過ごすと決めています。子どもたちにはできるだけ、今しかできない様々な経験をさせてあげたい。そういう意味では四季がはっきりしている石川は、夏は海で水遊び、冬はスキーや雪あそびなど、その季節ならではの遊びを体験させてあげられるのもよかったです」

休日は必ず家族でおでかけ。

現在田中さん一家は、奥さんのご実家のすぐそばに住んでいて、義父母と夕食を囲んだりと、足繁く通っているそう。
「僕自身、祖父や祖母と一緒に暮らしていたので、子どもたちにも多様な世代と関わり合いながら育って欲しいと思っています。また、育児面でも多大なサポートをいただいていて、僕にとっては妻の機嫌が良くなったことが何よりもありがたいです(笑)」

ライフスタイルに合わせた住まい選びを。

また、田中さんは様々な視点から物件を紹介する「金沢R不動産」のスタッフ。移住者におすすめの物件はありますか?
「物件ありきというよりも、勤務先が決まってから、その近くで決められる方が多く、ライフスタイルにもよるので、一概に“おすすめはコレ”と言うのは難しいですね。ただ、街なかは賃料が高いと思われている方が多いのですが、駅から少し離れてしまえば、郊外と差はほとんどありません。コンパクトな街なので、街なかぐらしも楽しいと思いますよ」

「また、金沢は町家のイメージが強いと思うのですが、実際は流通している数が少なく、また価格も高騰しているので、現在は宿など投資目的で購入される場合が多いです。町家にこだわらなくても、金沢は川沿いもすごく気持ちが良くて人気ですし、ライフスタイルに合わせて、様々な選び方ができると思いますよ」

それでは最後に、子育て世代の移住者にアドバイスはありますか?
「保育園はなるべく早くチェックしておくことをお勧めします。石川県は待機児童ゼロではありますが、家の近くなど“自分が入れたいところ”に途中から入るのは、難しい場合もあります。なので、住まいや仕事の目処がついたら、入園可能かどうかだけでも、ぜひ事前に聞いてみてください」
田中さん自身が移住者であったこともあり、相談先や各種制度のこともよくご存知なので、移住検討中の方は、物件相談もかねてぜひ田中さんを訪ねてみてください。