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空き家活用事例集

太田さん一家

能登移住で出会った、理想の仕事・子育て環境。

空き家
活用事例

古民家・自宅
太田殖之さん一家
(七尾市)

築100年といわれる古民家で暮らす太田さん一家。

東京から妻の故郷・七尾への移住。
太田さん一家が暮らす七尾市内の古民家。七尾駅からも車で5分ほど。
太田さん一家が暮らす七尾市内の古民家。七尾駅からも車で5分ほど。

太田殖之さんが妻の麻利子さん、長女の皆美(みなみ)ちゃん、長男の創佑(そうすけ)君の家族4人で、東京から七尾市へ移住したのは2014年3月のこと。

非営利型まちづくり会社「地域協働推進機構」で全国各地の地域づくり、活性化に関わる仕事をしていた殖之さんは、自分自身も東京にいながらではなく、どこか地方に住みながら仕事をしたいと考えるようになっていた。移住するのであれば娘の皆美ちゃんが小学校へ上がる前(年長になるタイミング)がよいと考え、2013年の8月に妻の麻利子さんの故郷である七尾への移住を思い立った。

能登で「能登定住・交流機構」が立ち上がるという記事を目にしていたので、機構を運営する「株式会社 ぶなの森」社長のもとを訪ねたのが9月。能登への移住を考えていることを伝えると「うちで働くといい」と言われ、移住後の職も確保した殖之さん。一家で七尾に引っ越したのは、年が明けた2014年3月のことだった。

現在、「株式会社 ぶなの森」「能登定住・交流機構」で移住促進や移住者のバックアップをしている殖之さんによると、能登では住む所より先に仕事が決まるケースが多く、就職先は選びすぎなければ心配ないそうだ。ハローワークの求人を見るだけではわかりにくいこともあるが、実際に会社に話しを聞きに行くと面白い仕事に出会えることが多いとのこと。七尾にはアパートがあるので住まいには困らないが、奥能登へ行くほど仕事は見つかるけれど、住まいを見つけるのが難しい傾向にあるとか。

移住直後はアパートで仮住まい。
子供達が思い切り遊べる広い庭。
子供達が思い切り遊べる広い庭。

今では築100年といわれる古民家に暮らしている太田さん一家だが、移住直後の3ヶ月間は七尾市内のアパートで仮住まいをしていた。

「せっかくなら古民家で暮らしたいと思い、七尾市の空き家バンクも調べたのですが、当時は希望に合う物件がなくて。実際は空き家になっていてもバンクに登録されていない場合が多いので、地元の不動産屋さん何軒かに希望条件を伝えて探してもらいました。まずは半年くらいアパートに住むつもりで、希望に合う家をじっくり探すのはおすすめですよ」と殖之さん。

「今住んでいる家は、私の実家から車で5分の距離で、七尾の市街地へも近く、必要なものは揃うので不便は感じません。ただ、家が広すぎて寒いのが難点かもしれませんね(笑)」と麻利子さん。太田さん一家が暮らす家は、10部屋+キッチン、庭付き、納屋付き、畑・田んぼ付きで、家賃が月3.5万円という何とも羨ましい一軒。希望していた子供達がのびのびと遊べる広い敷地、庭付き畑付きの古民家の条件が全て揃っていた。

憧れの古民家への引越し。
太い柱や梁が建物の作りの良さを物語る。大きな梁にぶら下げたブランコは子供達のお気に入り。
太い柱や梁が建物の作りの良さを物語る。大きな梁にぶら下げたブランコは子供達のお気に入り。

民間不動産業者の紹介で物件を見に来た時は、空き家になって既に3年が経過し、庭は草がボウボウ、家に入れば動物の糞や埃がいっぱいで、土足で上がるしかないような状態。「ここに本当に住めるの?」というのが第一印象だったそう。

「持ち主のおばあちゃんが高齢のため施設に入って空き家になっていて、このままだと家が傷むことを心配し、親戚の方や民生委員さんに相談して、借り手を探し始めたところだったようです。古い家はお仏壇の問題もあるんですが、それも入居前にお坊さんを呼んで引越しを手配してくれていました。」

七尾市内でアパート暮らしを始めてはいたものの、夫婦共働きで小さな子供もいるため、自分たちだけでは清掃しきれないと判断した太田さん夫妻。清掃業者に依頼して不要なものを処分、清掃してもらい、畳も入れ替えた。障子の張り替えや壁塗りなどは自分達の手で行い、幸いなことに風呂・トイレなどはそのまま使えたそう。

家族で過ごす時間が多いリビング&キッチン。キッチンの壁のタイルは自分達で貼った。
家族で過ごす時間が多いリビング&キッチン。キッチンの壁のタイルは自分達で貼った。
長い廊下に面した和室は寝室や客間として使用。窓の外には庭園があり、裏の竹林では竹の子も収穫できる。
長い廊下に面した和室は寝室や客間として使用。窓の外には庭園があり、裏の竹林では竹の子も収穫できる。

七尾市にも移住者向けに定住促進の奨励金・補助金制度がある。賃貸・購入や収入などで対象条件が違ったり、内容が更新されることもあるので、市役所のホームページで最新情報を確認したり、窓口に直接相談してみるとよいだろう。また、同じ能登でも市町村によって定住支援の仕組みが異なるので、移住エリア選択の参考にもしたい。

親子で過ごす能登時間。
七尾に来てから猫を飼い始め、家族で出かけることも以前より多くなったそう。
七尾に来てから猫を飼い始め、家族で出かけることも以前より多くなったそう。

「東京ではマンション暮らしだったので、子供達が飛び跳ねるだけでもご近所迷惑にならないかとハラハラしていましたが、今は大きな声を出しても、家の中や庭を駆け回っていても平気です」と麻利子さん。

ご近所には茅葺屋根の古民家があり、のどかな田園風景が広がるが、すぐ近所にはアパートや住宅地もあり、街の中心部へも自転車や徒歩で行ける距離。「飲みに行っても歩いて帰れる便利な場所ですよ」と殖之さん。「青年団の活動も都会ではない経験で、秋祭りには獅子舞にも参加しています。そうしたことも面白い」という。

「都会育ちの夫も、子供達と自然の中で遊んだり、一緒にやりたいことがたくさんあるみたいです」と麻利子さん。都会暮らしでは得られない、子供の成長過程で一番大切な時間を、この場所で一緒に過ごせることが、何より貴重だと夫妻は口を揃えて言う。

殖之さんが働く「能登定住・交流機構」が運営する情報サイトには、移住者・能登人のインタビューから、住まい探し、就職・起業などの仕事探しに役立つ移住支援情報が充実している。移住相談の窓口もあるので、能登移住を考えている人はぜひチェックしたい。市町村の空き家バンクと連動した住まい情報ページは、能登全体のエリアで探す際にも便利だ。自らが能登Iターン移住者である殖之さんも、移住に関する頼もしい相談相手、先輩になってくれることだろう。