七尾市(名古屋市から) スギヨファーム
アフリカでの経験が進むべき道を決めた
名古屋の大学で農学部を専攻していたころから国際協力や食糧問題に関心がありました。卒業後はジャイカ(独立行政法人 国際協力機構)の青年海外協力隊として、アフリカのニジェールで2年間野菜栽培の指導を行ってきました。
日本で仕事といえばお金を稼ぐ手段ですが、向こうでは生きるための手段。顔見知りの子どもが亡くなることも珍しくなく、常に生と死が隣り合わせの現状を知ったことで人生観も変わりました。ちょうど日本の食糧自給率の低下に危機感を覚えていたこともあり、自分自身で農業のスキルと経験を身に付け、新しい農業のスタイルをつくりたいと考えるようになりました。そんなときに出会ったのが、2007年に地域農業の振興を目的としてスタートしたスギヨファームでした。
能登の自然と人情が心をほぐす
はじめて能登を訪れた際の印象は強烈でした。七尾の市街地から能登島大橋を渡り、農場へ向かう海岸沿いを車で走っているころにはすっかりここの自然に魅せられ、それから2週間後にはもうこちらで生活を始めていました。
引っ越しは夏でしたが、ヒートアイランド現象で夜になっても不快な暑さが残る大都市と異なり、夜にはちゃんと過ごしやすくなる。アフリカでは自然の厳しさと同時に自然の優しさや雄大さも感じ、自然に寄り添い暮らすことに幸せを感じましたが、能登の自然にも同じ感覚を覚えました。
自然は豊かですが、ちょっと車を走らせれば商業施設が集まるエリアもあり、特に生活で不便さを感じることもありません。2012年には名古屋で知り合った妻と結婚し、ふたりで能登の暮らしを楽しんでいます。
能登で新しい農業のスタイルをつくりたい
現在は穴水町や志賀町にも農場を増やす計画が進み、栽培責任者として農場運営や指導にたずさわる割合が増えました。
地元の農家の方にもとてもお世話になっています。同業者には技術を教えないものですが、叱咤激励も込めてどんどん教えてくれる。能登ならではのあたたかさを感じますね。
「キツイ」「休めない」「儲からない」という一般的な農業のイメージを払しょくできれば、移住してくる方も増えると思います。その人が壁にぶつかった時には、しっかりとフォローし、たくさんの人を笑顔にできるおいしい野菜をつくるのが実現したい夢です。