» 毎日の生活を楽しくできる器を届けたい

毎日の生活を楽しくできる器を届けたい

能美市(孝知さん/静岡県出身、埼玉から、亜希子さん/愛媛から) 九谷焼作家・ろくろ師

九谷焼作家・職人としての道を歩む

静岡県に生まれ、大学卒業後は埼玉県でサラリーマンをしていました。愛媛県出身の妻と出会ったのは、九谷焼の技術者を育成する研修所(石川県立九谷焼技術研修所)でした。私は手に職をつけたいと思い、それまで勤めていた食器販売の会社を辞めて入所。当時は、まだ20代半ばで怖いもの知らずのところもありましたね。

器に絵付けを施す孝知さん。使う人が思わず笑顔になる、あたたかみのある作品を生み出す

私は、大学で焼き物を学びました。一旦、企業に就職しましたが、この道に入りたいという希望が強く、夫と同じ研修所に入りました。現在は、土をもみ、ろくろや型を使って土の形を整える素地づくりの技術者として、夫の作品のほか、陶芸関連の会社で素地を制作しています。

自宅の工房で、ろくろをまわす亜希子さんとできあがった素地

子育て環境が整っていたから続けられた

石川県は、のんびりしていて空気もきれいですし、人もあたたかい。それは移住当初も今も変わらず感じることです。

モノをつくっている人間として、時折り東京に行くと刺激は受けますが、集中して創作活動ができるのは静かな環境です。

石川県に住んでずいぶん経ちます。知り合いがいない土地で結婚、出産、育児を経験し、困ったときや迷ったときは、いつもまわりの人に助けてもらっていました。たとえば保育園や学校の先生にアドバイスをいただいたり。職場でも、子どもの病気や学校行事で仕事を休むことを理解してくれます。

能美市だけでなく、石川県全域でも待機児童がいないと聞いたことがあります。仕事を持つ母親にとっては、子どもを安心して預けられることほどありがたいことはないですね。

ほかにも、学童保育の充実や18歳まで医療費の窓口無料化(※市町村によって異なる)など、子育て家庭をサポートしてくれる環境が整っています。九谷焼の職人として一人前になるには長い時間が必要ですが、これまでは周囲の方に助けられて、あっという間に過ぎたという感じですね。

どちらも県外出身者なので、振り返ってみると、行政の子育て支援には本当に助けられました。

休日は、わざわざ出かけなくてもすぐ近くに大きな公園もあるので、子どもと一緒に遊びに行き、家族で過ごす時間を大切にしています。

私の作品に食器が多いのは、自分の家族も含め、毎日使う器が楽しければ生活も楽しくなるのではと思っているからです。夫婦でモノをつくることを生業としていますから、時には意見の相違もあります。ふたりとも器用ではありませんが、お互いに足りないところを補い、これからも技術を磨いていきたいと思っています。

川合さんの作品は、九谷焼を扱う店舗が集まる九谷陶芸村などで販売されている

川合孝知さん 亜希子さん

石川県能美市寺井町在住