» 「生きること」そのものが仕事と言える充実した日々

「生きること」そのものが仕事と言える充実した日々

白山市(東京都から) エコ・ファーム奥野

「食の安全」が移住のキーワードに

東京では青果専門の運送会社を経営していました。仕事で青果にかかわるうちに「食の安全」に興味を持ち、農業の道に進みたいと思うように。茨城県の農家で農業を学びながら今後のことを模索していた時期に出会ったのが、今僕が「お師匠さん」と呼ぶ奥野誠さんでした。

エコ・ファーム奥野では、農薬や化学肥料を一切使わず、栄養分を土壌微生物に生み出させる独自の農法に取り組んでいます。土を電子顕微鏡で分析するなど、化学的なアプローチに基づいて安全性を追求する手法に共感し、奥野さんの元で農業を学びたいと移住を希望。移住前に家族で2度ほど石川県に足を運び、妻も子どもたちもここの自然や生活環境が気に入ったこともあり、すんなりと移住が決まりました。

浅草で生まれ育った奥様。小学校低学年と幼稚園の2人のお子さん、2匹のドーベルマンとともに移住した

家族全員で里山暮らしをエンジョイ

現在は、築80年ほどの古民家で家族4人と東京から連れてきた犬2匹で生活しています。休日には、犬を連れて家からほど近い手取川の河川敷で遊んだり、金沢の友人を訪ねることも。金沢の中心地までは車で1時間くらいですから、特に生活で不自由を感じることはありません。昔からの趣味であるサーフィンについても、内灘や柴垣の海岸など、思い立ったらすぐに行ける距離で楽しめることがありがたいです。

移住後は、妻も子どもたちもすんなりとここでの生活に馴染むことができたと思っています。むしろ、生粋の江戸っ子の妻と子ども、大型犬と引っ越してきた僕たちに、近所の方々のほうが戸惑ったのではないでしょうか(笑)

ここで暮らすようになり、祭をはじめとした地域の行事にはできるだけ参加するようにしています。東京でもご近所づきあいはありましたが、こちらではその関係はより密接です。互いに支え合い、何かあれば親身になってくれる周囲のあたたかさには、たくさんの感動をもらっています。

手取川。広々とした河川敷は犬たちの散歩にぴったりの場所

近代的ビルが立ち並ぶ金沢市の中心部。隣県からの買い物客も多く、賑わっている(写真提供:金沢市)

県内のサーフィンポイント「柴垣海岸」

指導者として安全な食を伝えたい

都会で生活していたころは、「仕事」「生活」「遊び」は、それぞれ分かれていました。ここでは生きることそのものが仕事という感覚です。やりたい事、やるべき事がたくさんあって、あっという間に時間が過ぎますが、とても充実しています。

仕事では自然が相手ですから、なかなか思い通りにいかない。でもそれがおもしろさであり、やりがいを感じています。ここで農業を学び、何年かかるかわかりませんが、農業指導者として日本中に安全な食を提供したいという夢に向かって、これからも進んでいきたいと思います。

エコ・ファーム奥野の代表を勤める奥野さんと

エコ・ファーム奥野

伊藤恭介さん

〒920-2376 白山市若原町区内