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Uターンで金沢暮らしの良さを再発見

成長を求めて都会での生活を選択

金沢で生まれ育ち、大学進学で京都へ。大学時代の就職活動では、地元に戻って銀行に就職するか、上京してリクルートグループの人材派遣会社へ就職するか迷いました。両親や周囲の人は銀行を強く薦めてくれましたが、自分の中では「もっと色々なことにチャレンジし、成長して地元に戻ってきたい」という思いがあったので、都会で就職する道を選びました。その選択は間違っていなかったと思います。すべての出逢いや経験が、今につながっていますから。
卒業後はリクルートグループの人材派遣会社に就職。東京、大阪で仕事に励む日々で、会社でも徐々にステップアップをしていました。しかし、元々の思いであった「成長して金沢に戻る」という選択肢と自分が進んでいるキャリアにギャップを感じ始めていました。それが社会人になって5年目ぐらいのタイミングです。

その頃、金沢のベンチャー企業に転職して戻るチャンスがありましたが、当時相談をしていた前職の上司に「本当にその仕事がしたいのか?ただ地元に戻りたいだけではないのか?」と指摘され、考えの甘さを痛感しました。それからは、さらに真剣にUターンをする意味を考えました。

背中を押してくれた恩人との出逢い

退職はせず、計画をいったん白紙に戻してから1年間、Uターンのことを考え続けました。「金沢へ戻るのならば、仕事も生活も今以上に充実させたい!」と決め、そのためには地元で活躍している人に話を聞いてみようと思いました。色々な方とお会いする中で、現在私が働いている「株式会社こみんぐる」の林俊伍さんを紹介していただきました。
この出逢いが、金沢へのUターンを大きく前進させてくれました。

林さんは地元金沢にUターンして、起業をし、地域が良くなるための事業を創ることに励んでいました。その熱い思いに大きな刺激を受け、「自分もこれまでに培った経験を生かして、地元金沢のために生きていく」というビジョンが鮮明にイメージできたのです。

「こみんぐる」の仲間と。左下が林俊伍さん

地域貢献への思いと「金沢よそもん会」

結局、就職先は決めないまま金沢に戻りました。もちろん不安もありましたが、それ以上にワクワクした、根拠のない自信がありました(笑)。
当初は人材派遣会社での営業経験を活かし、個人事業主として複数の仕事をいただきながら自分にできることを模索していましたが、地域貢献につながる仕事に携わりたかったので、林さんに誘っていただいた「こみんぐる」 にお世話になることに。
こみんぐるでは、空き家を利用した宿泊施設の運営、地域の企業の経営人材を育成するための新規事業研修等、地域の課題解決につながる事業をしています。また、自分も大阪に住んでいた時はいち参加者として関わっていた「金沢よそもん会」というコミュニティの運営を任せてもらっています。住んでいる場所に関係なく集い、金沢をテーマにしたディスカッションを楽しむ。金沢について語り、良さを知ってもらうことで、「行ってみたい、住んでみたい」と思う人が一人でも増えればいいな、と思っています。
最近はオンラインが普及してきたおかげで、画面越しではありますが、遠くにいるたくさんの人と出逢えて、コミュニティがさらに広がりました。こうして今、地元で仕事や生活ができているのは、すべて人とのご縁があってこそだと実感しています。

ディスカッションの様子

人との縁を大切にしています

自然も文化も身近にある、情緒あふれる街・金沢

実家は金沢の郊外にあるので、学生時代は車が無いと不便だなと思っていました。今は金沢駅近くの市街地エリアに住んでいて、不便さは全く感じません。徒歩や自転車で、空き時間にふらっとランチやカフェに行ったり、買い物したり、文化に触れたり……。Uターンしてから、金沢の良さを再発見しました。ちょっと車を走らせたら海や山もあるので、気分転換になりますね。この前は姪っ子と医王山にスノーボードに行きました!車があれば30分で行けるんです!実家にも仕事帰りに行けるので、年老いた祖母との時間も大切にしています。
新鮮な魚は安く買えるし、野菜も頻繁にいただくので料理に目覚めました。趣味といえるほどです(笑)。昔は当たり前だと思っていたのですが、金沢に戻ってきてからは本当に美味しいものが多いということに気づきました。

魚の美味しさを再確認

料理はおまかせ!

子どもや孫の世代に誇れる街づくりを目指して

自分もそうだったように、移住を考えるときには仕事をどうするかが重要です。地元で働きがいのある仕事をすることは難しいんじゃないかと思っていました。しかし、帰ってみると地域ならではの面白い会社や人はたくさんいて、もっとそんな場所を創っていきたいと思っています。
現在、リクルート時代の経験を生かし、金沢の企業や団体が活動しているプロジェクト、金沢SDGs「IMAGINE KANAZAWA2030」にも携わっています。企業を盛り上げながら人とつなげていき、金沢という土地で、誰もが豊かな気持ちで仕事や生活ができる環境づくりを目指しています。
今後の目標としては、こみんぐるが掲げる「100年後も家族で暮らしたい金沢」をテーマに、未来を見据えた、子どもや孫の世代に誇れる街づくりに携わっていきたいですね。

充実した日々を過ごしています

橋本健太郎(はしもとけんたろう)さん

金沢市出身